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今回は、私の料理人としてのルーツをお話しします。
私は日本人の父と中国人の母の間に生まれました。そのおかげで、ふたつの国の料理を身近に育ちました。これが、いまの私の料理方法、ひいては考え方に大きな影響を及ぼしています。料理人の武器になったのです。今回は食にみる韓国、中国の影響を九州を舞台に考えてみます。
私の持論のひとつに、物事は二つを比べて考えてみるというものがあります。どんなものにせよ、一つだけでは、ものの善し悪しを判断できない。だから、必ず二通りを比較検討してみる。これが長年の流儀になっています。
そもそも、私は日本人の父と中国人の母の間に生まれました。小さな頃から身の回りは、日中のすべてがありました。
なかでも日々大きなものといえば、料理。母は台湾の出身でしたから、当然、中国料理。父は鹿児島県徳之島の出ですので、日本料理。このふたつの料理法を身につけたのです。
料理というものは国境を越えて広がります。九州を例にあげると、福岡、唐津、有田など北九州は朝鮮半島の影響が顕著です。
「ゆずこしょう」といえば本州では、ゆずに胡椒がはいったものを指しますが、北九州では、中国・朝鮮流のゆずの入った唐辛子のこと。いわゆる豆板醤です。朝鮮の技術が輸入されて、この地方一帯では焼き物が盛んなのはいうまでもありませんね。
一方、同じ九州でも、南にくだると台湾の影響が濃くなります。たとえば、落花生。広東省、福建省、台湾の特産品です。この調理方法が地方によって異なります。
皮の付いたまま醤油で炊き込む。これは、私の店でお出ししているやり方。日本では油で揚げて塩をまぶすのが普通です。
父の出身地の徳之島では、落花生に火を通し黒砂糖をまぶすお菓子があります。同じように豚足も台湾流だと、柔らかく醤油で煮込みますが、日本ではゆでて、塩や味噌でいただく。
国境を越えて、その地域ごとの特性が加わり料理は完成されていきます。丁寧に調べてみると、実に興味深い姿が現れます。
「鶏飯(とりめし・けいはん)」にしても、中国風だと鶏をまるごと一匹煮込みダシをとります。それをご飯のうえに、椎茸、薄揚げなどとともにかけて食べる。ところが、日本流だと、最初から一緒に炊き込む。
料理はどのようにして、国境を越えるのか。私は海流が大きな要因だと思います。潮の流れによって文化は伝搬していくのでしょう。
人が作った国境よりも、自然のもたらす地形学の方が遙かに大きな要素なのです。だから、同じ九州においても、南と北ではまったくと言っていいほど異なるのです。
料理以外にもおもしろいと最近気が付いたのは、街の道路標示。福岡では韓国語の表記が見かけられますし、また南の方だと、台湾からの卒業旅行のおかげなのか、中国語の看板が少なくありません。
これだけ、交通、情報の行き来が増えてきた21世紀だから当然といえば当然。
みなさんも一度、自分なりに研究してみてはいかがでしょうか? |